元キャバレーの東京キネマ倶楽部で初の音楽ライヴを成功させて10年...。
2001年の初開催以来ソールドアウトし続ける恒例の年末ライヴ“Midnight Dejavu”は昨年2010年で10周年を迎え、全10公演SOLD OUT! 東京公演ファイナルのMidnight Dejavu“ならでは”の映像とキネマ倶楽部で繰り広げられたジャンルレスな超豪華ゲスト3組との一度きりの貴重なセッション映像を収録!さらには韓国公演、大阪公演のダイジェスト映像も収録した永久不滅盤のリリースが決定!!
写真集『MIDNAIGHT DEJAVU 10TH ANNIVERSARY at 東京キネマ倶楽部』も発売中!
浅草と並び東京を代表する下町・上野からほど近い場所にある鶯谷。飲み屋とラブホテルが密集し、いかがわしさとともに、そこはかとなく哀愁漂うこの街に東京キネマ倶楽部はある。
EGO-WRAPPIN’が毎年末の恒例ライヴ『Midnight Dejavu』を東京キネマ倶楽部で行うようになって早10年。彼らがライヴを行ったことによって噂が広まり、以降さまざまなアーティストに使用される機会が増えた東京キネマ倶楽部ではあるが、この会場が最も似合うアーティストがEGO-WRAPPIN’であるということに異論を挟む者は、まずいないだろう。それほどまでに東京キネマ倶楽部とEGO-WRAPPIN’は、いまや強烈なイメージで分かちがたく結びついている。
昭和30年代のグランド・キャバレーの内装をそのまま残したというレトロな場内。暗闇の中、ライトが灯され、小粋なスーツに身を包んだバンド・メンバーがおもむろに演奏を始める。ほどよく肩の力が抜けたダウンホームな演奏に思わず腰が揺れる。そんな中、ゴージャスなドレスを身にまとった中納良恵が、お馴染みのランプを手にステージに登場し歌い始めた瞬間、フロアから大きな拍手と喝采が巻き起こる。ステージのみならず会場全体がこの時点で完全に“出来上がっている”。言葉を変えれば、ほどよく“酩酊している”。こんな状態の中で行われるライヴが悪いはずもなく、事実、EGO-WRAPPIN’は過去10年にわたり、この会場で最高のステージを繰り広げてきた。
それにしても、『Midnight Dejavu』とは本当によく付けたもので、あの独特な空間に身を置きながらEGO-WRAPPIN’のライヴを観るたびに、郷愁とは違う不思議な感慨に襲われる瞬間がある。まるで遥か昔に見た光景が目の前で再現されているような、えも言われぬ感慨。
それはまた、心の奥底に眠っている日本人としての情緒や琴線が根底から揺さぶられるような、ある種の衝撃的瞬間でもある。明暗順応した視線の先に広がるデジャヴにも似た新世界──。多様な音楽的要素を現代的な感性でブレンドし、今の時代に響く大衆音楽を創り上げてきたEGO-WRAPPIN’の本質がもっとも顕著な形で浮き彫りになるのが東京キネマ倶楽部でのライヴなのかもしれない。そういう意味でも、この会場で行われるEGO-WRAPPIN’のライヴは本当に特別なものなのだ。
そんな過去10年にわたる『Midnight Dejavu』の総決算ともいえるライヴの模様が収められたのが今作『Midnight Dejavu 10th ANNIVERSARY at 東京キネマ倶楽部』だ。disc1には2010年12月26日に行われたライヴを収録。あたかもその場に居合わせているかのような臨場感たっぷりの映像が、この会場でしか起こりえないマジカルな瞬間の数々を克明に記録している。そしてdisc2には10周年を記念して実現した、The TRAVELLERS、清水ミチコ、八代亜紀との共演映像を1曲ずつ収録。個性豊かな共演者たちとの演奏を通じて、彼らの芸達者なエンタテイナーぶりもさりげなく垣間見えてくる。何はともあれ百聞は一見にしかず。今作でEGO-WRAPPIN’というバンドの真髄を存分に味わってほしい。
望月哲[音楽ライター]